AWS EC2 料金プランおよび購買オプションの完全ガイド

Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)を利用する際、コストを最適化しつつシステムの要件を満たすためには、多様な料金プランと購買オプションを正しく理解して選択することが不可欠です[1]。本記事では、AWSの公式ドキュメントに基づいて、Amazon EC2のすべての料金プランおよび関連するキャパシティオプションについて網羅的に解説します[1]。


1. オンデマンドインスタンス

オンデマンドインスタンスは、EC2における最も基本的な課金モデルであり、長期契約や事前支払いを一切必要としません[1]。

  • 課金体系: 稼働中のインスタンスに対して、秒単位(最低課金時間は60秒)の従量課金制が適用されます[2-4]。この秒単位の課金は、Amazon Linux、Windows、Red Hat Enterprise Linux、Ubuntuなどで利用可能です[3, 4]。
  • 柔軟性: 起動、停止、休止、終了といったライフサイクルの管理をユーザーが自由に行えます[1]。
  • クォータ管理: アカウントおよびリージョンごとに、稼働可能な「オンデマンドインスタンスクォータ」が仮想CPU(vCPU)の総数に基づいて設定されています[4]。インスタンスが「pending(起動処理中)」「stopping(停止処理中)」「stopped(停止)」「hibernated(休止)」の状態にある場合はクォータにカウントされませんが、未使用のオンデマンドキャパシティ予約はクォータに算入されます[5]。

2. Savings Plans

1年または3年の期間、時間あたりの利用額(USD/時間)をコミットすることで、オンデマンド料金と比較して大幅な割引を受けられる柔軟なプランです[6-8]。

  • Compute Savings Plans: オンデマンド料金から最大66%の割引が適用されます[8, 9]。特定のインスタンスファミリー、サイズ、OS、リージョンに拘束されず、AWS FargateやAWS Lambdaのコンピューティング料金に対しても自動的に割引が適用されます[8, 9]。
  • EC2 Instance Savings Plans: オンデマンド料金から最大72%の割引が適用されます[8, 9]。購入時にコミットした特定の「リージョン」および「EC2インスタンスファミリー」に限定されますが、インスタンスサイズやOS、テナンシーの変更には自動的に対応します[9]。
  • 適用ロジック: 組織で一括請求を利用している場合、まず既存のリザーブドインスタンスの割引が適用され、次に割引率の高い「EC2 Instance Savings Plans」、その後に「Compute Savings Plans」の順で適用されます[10, 11]。割引率が同じ場合は、Savings Plansの料金が最も低いインスタンスから優先して消費されます[10, 11]。

3. リザーブドインスタンス(RIs)

特定のインスタンス構成(ファミリー、サイズ、OS、リージョン、テナンシーなど)で1年または3年の利用をコミットすることで、オンデマンド料金から最大72%の割引を受けられるオプションです[8, 12-15]。支払いは「全前払い」「一部前払い」「前払いなし」から選択できます[16]。

  • Standard RIs: 最大72%の割引を提供しますが、インスタンス属性の交換はできません[17, 18]。ただし、不要になった場合はAWSの「Reserved Instance Marketplace」で他のユーザーに売却することが可能です(残り期間1ヶ月以上、アクティブな状態で30日経過などの条件あり、手数料12%)[19, 20]。
  • Convertible RIs: 最大66%の割引を提供し、期間中に別のインスタンスタイプやOSなどへ属性を交換することができます[8, 17, 18]。交換の際は、元のRIのリスト価値と同等以上の価値を持つ新しいRIへの交換である必要があります[17, 19]。Marketplaceでの売買は禁止されています[19]。

4. スポットインスタンス

AWSのインフラ内にある余剰キャパシティを使用することで、オンデマンド料金と比較して最大90%の割引価格で利用できるオプションです[6, 21, 22]。

  • 中断(Interruption)リスク: キャパシティが必要になった場合、AWSによってインスタンスが中断される可能性があります。この際、中断の2分前に警告が通知されます[21, 23, 24]。
  • 中断時の動作: 中断された際のアクションとして、「終了(Terminate)」「停止(Stop)」「休止(Hibernate)」を指定できます[23, 25]。
  • 課金仕様: AWSによって強制的に終了された場合、Amazon LinuxやUbuntuなどでは最後の1時間の端数時間は免除されますが、WindowsやRHEL、SLESでは通常のスポット料金が秒単位で課金されます[26]。ユーザーが自ら終了・停止した場合は、OSに関わらず端数分の料金が請求されます[26]。

5. ハードウェア占有型プラン(専用サーバー)

コンプライアンス要件やソフトウェアライセンスの持ち込み(BYOL)に対応するためのオプションです[12, 27]。

  • 専有ホスト(Dedicated Hosts): お客様専用の物理サーバーを割り当てるモデルです[27, 28]。物理ソケット数やコア数が可視化されるため、Windows ServerやSQL Serverなどの既存のライセンス(BYOL)を持ち込むのに最適です[27]。ホスト単位(Per-host)で課金され、自動配置やアフィニティ(特定の物理ホストへのインスタンスの固定)がサポートされています[27, 29]。専有ホストリザベーションを購入することで、最大70%の割引を受けられます[30]。
  • 専有インスタンス(Dedicated Instances): 物理的に隔離されたハードウェア上で実行されますが、物理ホストの指定やコントロールはAWSが行います[31]。実行インスタンス単位で課金され、ハードウェア情報の可視性がないためBYOLには大幅な制限があります[29, 31]。

6. キャパシティ確保のオプション

キャパシティの確保に特化したオプションであり、コスト割引の効果はありませんが、他の割引プラン(Savings PlansやRI)と組み合わせて使用することが可能です[32]。

  • オンデマンドキャパシティ予約(ODCR): 特定のアベイラビリティーゾーンにおいて、EC2インスタンスの起動キャパシティを事前に確保します[32-34]。インスタンスを実行していなくても、確保したキャパシティに対してオンデマンド料金が秒単位で発生し続けます[32]。
  • Amazon EC2 Capacity Blocks for ML: 特定の未来の日付から指定した期間、機械学習のトレーニングなどに必要なGPUインスタンスのキャパシティを事前に予約する機能です[34-36]。

7. マネージドインスタンス

プロビジョニング、パッチ適用、スケール管理などのインフラの運用保守全般をAWSサービスプロバイダーに委託するモデルです[37]。標準のEC2の利用料金(オンデマンド、Savings Plans、RI、スポットが適用可能)に加えて、運用保守のための「追加料金」が加算して請求されます[37]。


まとめ

Amazon EC2のコスト最適化(FinOps)を成功させるには、ワークロードの特性に合わせてオプションを組み合わせる三層レイヤー戦略が推奨されます[38]。

  1. 予測可能な常時稼働システムには「EC2 Instance Savings Plans」や「Standard RIs」を利用する[38]。
  2. システム変更が想定される流動的なワークロードには「Compute Savings Plans」を利用する[38]。
  3. 中断耐性のあるバッチ処理などには「スポットインスタンス」を利用する[38]。

要件とコストのバランスを見極め、自社に最適な購買オプションを選択してください。


引用サイト情報

  • Amazon EC2 料金表 – AWS [39]
  • Amazon EC2 billing and purchasing options [40]
  • Reserved Instances for Amazon EC2 overview – Amazon Elastic Compute Cloud [41]
  • Services eligible for Savings Plans benefits – AWS Documentation [42]
  • Compute Savings Plans and Reserved Instances – AWS Documentation [43]
  • Viewing your Savings Plans inventory – AWS Documentation – Amazon.com [44]
  • Understanding how Savings Plans apply to your usage – AWS Documentation [45]
  • Understanding your recommendation calculations – Savings Plans – AWS Documentation [46]
  • Spot Instances – Amazon Elastic Compute Cloud – AWS Documentation [47]
  • Behavior of Spot Instance interruptions – Amazon Elastic Compute Cloud [48]
  • Amazon EC2 Dedicated Hosts – Amazon Elastic Compute Cloud [49]
  • On-Demand Capacity Reservations and Capacity Blocks for ML – AWS Documentation [50]
  • Amazon EC2料金プランおよび購買オプションの網羅的比較分析報告書 [Markdown] [1]

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